ピョンちゃんのオシャレ

動物の森に住む、うさぎのピョンちゃんは、オシャレが大好き。

みんなに「かわいいね」「オシャレだね」と言われるのが嬉しくてたまりません。

ピョンちゃんが新しい物を身に付ければ、森の仲間たちはみ~んなほめてくれるのです。

「ピョンちゃん、今日もオシャレだね!」

そんな風に言われると、ピョンちゃんは決まって胸をはり、こう答えます。

「うふふ、これからのハヤリは、コレよっ」

みんなからの視線を浴びて、今日もご機嫌。

ところが……

「あっ、ライオンくんがいるよ。今日もカッコイイなぁ」

森の向こうをのっしのっしとライオンくんが歩いて行くのを見つけると、仲間達たちは、みんなライオンくんに釘付けになってしまいました。

「なによ…ライオンくんなんて、オシャレなのはあのタテガミだけでしょ!」

そう言ってピョンちゃんは口を尖らせます。

実はピョンちゃん、他の誰かが自分よりも注目されるのが大嫌い。いつでも自分が一番でいたいのです。

「どうしたら、もっとわたしを見てもらえるかしら…」ピョンちゃんはうでを組み、首をひねってう~んと考えます。

「そうだ!!」

ピョンちゃんはパッと嬉しそうに顔を上げ、大あわてでお家へと帰っていきました。

それから…どうやら何かを作っているようですが…何をしようと言うのでしょう?

「できたわ!!」

ピョンちゃんが大きな声を上げて手にした物…それは、オレンジ色にかがやくふさふさとした毛のような物…

「これを顔の周りに付ければ…」

ピョンちゃんは自分の顔をぐるっと囲むようにしてそのオレンジの毛を付けました。

どうやら、ライオンのタテガミの真似をしているようです。

タテガミを顔につけたピョンちゃん。ほこらしげに胸を張って森の中を歩いて行きます。

そこへキツネくんが通りかかりました。

「あれ?ライオンくんかと思ったよ」

ピョンちゃんを見つめるキツネくんの目はおどろいてまんまるになっています。

「ふふふっ、ライオンくんに負けないくらい、カッコイイでしょ?」

ピョンちゃんは大満足。

すれ違うイノシシちゃんも、フクロウさんも、み~んな、タテガミをつけたピョンちゃんの姿にビックリ。

「大成功!これならライオンくんよりわたしの方が目立つに決まってるんだから」

ピョンちゃんはますます胸を張り、ずんずん森の中を歩いて行きます。

すると……

「クジャクさんはいつもオシャレだなぁ」

「キレイな羽だねぇ」

広場でクジャクさんがみんなに囲まれているのが目に入りました。

「そんなことないって」

クジャクさんは恥ずかしそうにカラフルな羽をふわふわと揺らします。

ピョンちゃんは思わず足を止めました。

「わたしの方がうんとオシャレなんだから」

そう呟くと、みんなが広場からいなくなるのを待って、クジャクさんの落とした羽根を全部拾い集めました。両手いっぱいになったカラフルな羽根。ピョンちゃんはそれをを自分のしっぽにくっつけ始めます。

「ほら、こんなにもよく似合う。クジャクさんにだって、負けないわ」

大きくなった自分のしっぽを振って嬉しそうに頷くと、ピョンちゃんはもう一度森の中を胸を張って歩き始めました。

「ピョンちゃん、今日はカラフルだね…」

すれ違う森の仲間たちはもの珍しそうにピョンちゃんを眺めていきます。

「オシャレでしょ~?」

みんなの視線を浴びて、ピョンちゃんはとっても嬉しそう。

しばらく行くと、ひつじちゃんが歩いているのが目に入りました。

「よし、ひつじちゃんにも見せてあげよう」

ピョンちゃんが後ろからついていくと、前からシカくんがやって来ました。

「ひつじちゃん、今日もふわふわでとってもかわいいね」

「ありがとう、シカくんこそ、いつもツノが立派でステキよ」

2人とも、後ろにピョンちゃんがいることには全く気付いていないようです。

「なによ~~~!!」

どうにもおもしろくないピョンちゃんは、ひつじちゃんが落としたふわふわの毛を体に、シカくんの角に似た木の枝を頭の上にのせました。

「これでもう、わたしよりオシャレでステキな動物なんて他にいないわ!」

誰に言うでもなくそう言って、ピョンちゃんは森の中をズンズン歩いて行きます。

 

ところが、どうしたことでしょう。さきほどから他の動物が一匹も見あたりません。

 

 

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