第8話 王子の決意

○厳かで広い王室


国王の部屋に取り残された私は、国王とクロウに挟まれて、どうしたらいいかわからず、かける言葉を探していた。


@国王

「・・・クロウ。紹介してくれないか。この可愛らしいお姫様は・・・次期王妃ということで良いのかな?」


国王が静かに口を開いたかと思うと、ふいにそんなことを言って優しい瞳で私を見た。

どことなくクロウに似た眼差しにドキッとする。


@クロウ

「なっ・・・父上!」


@ノエル

「次期王妃!?」


私とクロウはほぼ同時に声を上げる。

慌ててクロウを見やると、クロウは耳まで真っ赤になっていた。


@国王

「先ほどのキュクノスへの発言といい、なかなか芯のある素敵な姫様だ。クロウ、お前も見る目は確かなようだな。・・・私は妻を、王妃を守り抜く事が出来なかった。だからクロウ、お前は必ず、愛する者を守り抜き、幸せを手に入れるんだ。いいね?」


@クロウ

「・・・はい、父上。必ず。」


クロウはしっかりと頷く。それから私の右手をそっと握った。


@ノエル

「クロウ・・・?」


突然触れた温かな手にドキドキしながら、同時になぜか安心感を覚える。


@クロウ

「俺はまだ、キュクノスの言うとおり王に相応しい男にはなれていない。だが必ず、父上のように立派な国王になってみせる。・・・ノエルがいれば、そうなれそうな気がするんだ。」


@国王

「・・・そうか。良い目をするようになったな。ノエル姫、迷惑をかけるが、クロウのことをよろしく頼む。」


@ノエル

「・・・はい。」


私も、つながれたクロウの左手をぎゅっと握り返した。


○城の庭園


@ノエル

「はぁ・・・びっくりした。次期王妃だなんて。」


久々に再会したクロウと国王は、積もる話もあるだろうと私は1人先に国王の部屋を出て、お城の庭で休んでいた。


@クロウ

「ノエル。」


@ノエル

「クロウ!もう良かったの?」


@クロウ

「あぁ。待たせて悪い。それとさっきは・・・すまなかった。」


クロウが目を逸らしてぽつりと謝る。


@ノエル

「え??」


@クロウ

「その・・・勝手に次期王妃などと。」


言われて、一気に顔が熱くなる。


@ノエル

「そんな。謝らなくても。・・・びっくりはしたけど・・・嬉しかったし。」


@クロウ

「嬉しかった・・・?」


顔を上げたクロウの頬も心なしか赤い。


@ノエル

「私がいれば変われる気がするって言ってくれたこと。私、クロウのそばにいていいんだなって思って。」


@クロウ

「・・・・あぁ。・・・なぜかは分からないが、お前といると、俺は変われる、そんな気がするんだ。お前が、馬鹿みたいに前向きだからかもしれない。」


@ノエル

「馬鹿みたいって!」


むっと口を歪ませると、クロウが笑った。


@ノエル

「クロウ、やっと笑ってくれるようになった。」


@クロウ

「・・・は?」


@ノエル

「出逢った時、クロウって本当に無表情で、ものすごく綺麗なのに表情がないから、人間じゃないんじゃないかと思ったくらい。でもやっと、クロウの本当の顔が見えるようになった。」


@クロウ

「・・・ノエル・・・」


クロウの手が私の肩に伸びる。

じっと見つめる透き通る瞳は相変わらず美しくて、吸い込まれるような錯覚に陥る。

少しづつゆっくりとクロウの顔が近付く。

そしてそのまま、どちらからともなく、唇を重ねた。


@クロウ

「・・・ノエル、お前がいると、俺は自分の居場所を見つけられる。今まで信じられなかったこと、気付けなかった景色が見えるようになる。」


@ノエル

「クロウ・・・クロウの世界にも、ようやく色が戻ったんだね。」


@クロウ

「あぁ。・・・お前のおかげだ。・・・俺は、お前を・・・」


言いながら、クロウは顔を真っ赤にして私から目を逸らす。


@クロウ

「お前を・・・」


@ノエル

「クロウ。私は、クロウが大好き。」


クロウの様子があまりにも愛おしくて、思わず言ってしまった。

クロウは真っ赤な顔を上げて、目を見開く。


@クロウ

「なっ・・・お前、先に言いやがって!」


@ノエル

「クロウは?」


@クロウ

「っ!!・・・俺は、お前を・・・愛している。」


@ノエル

「クロウ!!」


私は思わずクロウに抱きついた。

クロウは慣れない手つきでぎゅっと抱きしめ返してくれる。


@クロウ

「いつか、本当に俺の妃になってくれないか。・・・今はまだ、俺は王として未熟すぎる。王としての自信はまだない。ただ、お前の隣に並んで恥ずかしくない程度にはいい男になってみせる・・・。」


私は、抱きしめられたまま、何度も頷いた。

不器用なクロウが愛おしくてたまらなかった。

きっとクロウは、ここからかつての美しい国を取り戻すだろう。

そして私は必ず、彼を全力で支えよう。そう心に誓うのだった・・・。


END


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