第7話 王子の居場所


○素朴な町並み


私とクロウは、少しづつ色彩の国の城下町へ訪れる機会が増えていた。

クロウはまだ町の人たちに警戒し、うまく接することができないようだけど・・・


そしてその日は、珍しくレイヴンも一緒に、3人で色彩の国へ来ていた。


@レイヴン

「なるほどね。2人の話には聞いていたけど・・・本当に、妙な光景だな。」


@クロウ

「・・・あぁ。色が制限されるだけでこれだけ景色が変わるらしい。」


私たちが街の光景を眺めながら歩いていると・・・


@兵士

「クロウ王子!?」


街の見回りをしていたらしい1人の兵士が駆け寄ってきた。


@兵士

「やっぱりクロウ王子ですね!一体今までどちらにおいでだったのですか??城の                  者皆で探していたのですよ!さぁ、お城へ帰りましょう。」


@クロウ

「いや、俺は・・・」


@レイヴン

「いいじゃないか。帰ってみれば。いつまでも逃げていられないだろう?この国も、お前が元に戻すんだ。」


@クロウ

「・・・・・わかった・・・ただし、こいつらも一緒に城へ連れていく。いいな?」


@兵士

「はい!王子の客人であれば、喜んで歓迎いたしましょう。」


@ノエル

「私も!?」


@クロウ

「あぁ。俺の・・・隣にいてくれないか?」


ふとクロウの腕が偶然触れて気付いた。小さく震えている。


@ノエル

(クロウ・・・お城に戻るのが不安なんだ・・・)


私は、さりげなくクロウの手を握り、しっかりと頷いた。

クロウは、一瞬大きく目を見開いたが、その後泣きそうにも見える表情で微笑んだ。

クロウが笑った顔を、初めて見たかもしれない。

それははっとしてしまうくらいに美しく、どこまでも儚く、私の心に深く刻み込まれた。


○色彩豊かで美しい城の中


@ノエル

「うわぁ・・・素敵なお城。」


@兵士

「国王様は奥の部屋で休んでおいでです。今日は朝から割と調子も良いので、ちょうど良かった。」


案内されたのはお城の最上階の奥。厳重な警備のされた厳かな扉の前だった。

部屋の扉が開かれると、大きな寝台に横たわる男性の姿が目に入った。


○厳かで広い王室


@クロウ

「父上・・・」


クロウがゆっくりと歩み寄ると、国王は体を起こし、目を見開いた。


@国王

「クロウ・・・ようやく帰ってきてくれたのか!!会いたかった・・・わが愛しい息子よ・・・」


国王が瞳を潤ませながらクロウへ手を伸ばす。その時・・・


@キュクノス

「クロウ!!」


大きな声が背後から響き渡り、慌ただしく1人の青年が駆けこんできた。


@クロウ

「キュクノス・・・」


@キュクノス

「お前、よくも今頃のこのこと帰ってこられたな。」


@国王

「キュクノス、いいんだ。クロウを責めないでくれ。」


@キュクノス

「自分の父上が寝込んでいるというのに、お前は何をしていたんだ!」


@ノエル

「そんな言い方、クロウは、あなたのせいで・・・」


@クロウ

「ノエル、やめろ。何も言うな。」


@ノエル

「・・・・っ。」


@国王

「私には、クロウが何も考えずに城を出たわけではないことくらい、分かる。ただ一人の、私の息子なのだから・・・それに、後ろの彼、君はレイヴン、だね?」


国王が突然レイヴンを呼ぶ


@ノエル

「レイヴン、国王様とお知り合いだったの!?」


@キュクノス

「兄貴・・・なんであんたが、クロウと共にいる!?」


@ノエル・クロウ

「兄貴!?」


@レイヴン

「キュクノス、久しぶりだね。元気そうでなにより。・・・だがちょっと、出すぎたまねをしてしまったようだね。・・・迎えに来たんだ。お前を。」


@キュクノス

「なんだと!?迎えに来た?今更何を言う!俺はここで・・・」


@レイヴン

「クロウを追い出し、自分が時期国王にでもなるつもりだった?お前の居場所はここじゃないよ。共に帰るんだ。俺たちの故郷に。」


@キュクノス

「嫌だ!せっかく俺の思う国を作り始めたんだ。クロウより、俺の方が王にふさわしいに決まってる!」


@ノエル

「キュクノスさん。あなたは、街の人たちの声に耳を傾けたことがある??みんな色の制度に縛られて、とても窮屈そう。この国は、もっと自由で美しくあるべきだと思うの。」


@キュクノス

「黙れ!部外者が!!!」


思わず口を挟んでしまった私に、激昂したキュクノスが花瓶を投げつけた。


@ノエル

「!!」


@クロウ

「ノエル!」


ガシャンッ


花瓶の割れる音が高く響く。

けれど体のどこにも痛みを感じず、不思議に思ってそっと目を開けると、クロウが私を抱きしめるように庇い、花瓶をはねのけていた。


@クロウ

「キュクノス。こいつを傷つけるのなら、俺はお前を許さない。」


@キュクノス

「ちっ・・・ばかばかしい。」


@レイヴン

「キュクノス、もういいだろう。国王とクロウに再会の時間を与えるんだ。俺たちは必要ない。『部外者』だからな。国王様、お騒がせして申し訳ありませんでした。私たちはこれにて失礼いたします。」


レイヴンは、深々と頭をさげると、無理やりキュクノスを担ぎあげて部屋を出て行ってしまった。

部屋には、国王とクロウ。そして私も取り残されてしまった。


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