第4話 王子の過去


○質素な山小屋の部屋


私とレイヴン、そしてクロウは3人で机を囲んで座り、クロウの話に耳を傾けていた。

クロウが話してくれたのは、色彩の国と、そしてクロウの過去の話。


@クロウ

「色彩の国は、昔からあのような身分による色の制度などがある国だったわけではない。数年前までは『色の豊かな国』として名高い、美しい国だった。」


クロウの話す話はこうだった


国王の第一王子として誕生したクロウは生まれつき色素が薄く、体も弱く、国王と王妃に大切に守られて育てられていた。その色白の肌には、太陽の光さえも害になってしまうため、城の外へ出ることもなく、城の中だけがクロウの世界の全てだった。


そんなクロウの人生が大きく変わったのは、クロウが10歳の時。


国王と王妃は、他国のパーティーへ赴くため、クロウを城の世話役たちに任せ、同じく招待されていた王妃の妹家族と共に出かけていた。そしてその道中、大きな事故に巻き込まれてしまった・・・。


不幸なことに、王妃と妹夫婦は助からず、命を落としてしまい、国王と、妹夫婦の息子2人が残された。

国王は王妃の妹夫婦の息子2人を引き取ることを決心したが、兄の方はすでに成人していたため自力で生活していくことを決め、クロスと年の近い弟、キュクノスだけが引き取られ、クロウと共に育てられた。


クロウと、2つ年下のキュクノスは年が近いこともあり、本当の兄弟のように仲良く生活をしていたのだが・・・


○回想(10歳の時のクロウ)


@キュクノス

「クロウ!たまには城下街へ遊びに行かないか??」


@クロウ

「いや・・・俺はやめとく。」


@キュクノス

「なんだよ。陽の光が嫌だからとか言うのか??マントでもかぶっていけばいいだろ。」


@クロウ

「いや、俺は・・・」


断ろうとするクロウを気にも留めず、キュクノスは半ば強引にクロウを街へ連れ出した。

父である国王には城を出ることを止められていたのだが、国王は事故の後遺症や王妃を亡くしたショックから、床に伏せる日が多くなっていた。


初めて街を見たクロウはその賑やかさに圧倒されていた。


@クロウ

「街には・・・こんなにたくさんの人間がいるんだな。」


@キュクノス

「お前は、箱入り王子だもんな~楽しいだろ、賑やかなのも。」


@クロウ

「そう・・・だな・・・」


クロウがその景色に戸惑っていると


@町人1

「あの装い。もしかして、あれが第一王子か?」


@町人2

「間違いない!たしか従弟を一緒に育ててると聞いたな・・・どちらが王子だ?」


@町人1

「国王様はブラウンヘアーで色黒な方だし、王妃様は肌は白いが美しい黒髪だった。それでいくと、白金髪の方は従弟だろう。」


@クロウ

「・・・!!」


街の者たちの好奇に満ちた会話がクロウの胸に突き刺さった。

以前から、自分の肌や髪は両親のどちらにも似ていないと思っていた。

その点、キュノクスは濃いブラウンヘアー。

王子の顔を見たことのない街の者たちにキュクノスが本当の子だと思われるのも無理はなかった。


その日よりクロウは、二度と街へは出なくなり、王子だと信じ込まれたキュノクスはクロウとは対照的によく街へ出かけるようになっていった。


居場所を無くしたクロウはやがて黒い布で姿を隠し、1人城を出て国境外の森へと逃げ込み、そこでレイヴンと出会ったのだという。


○回想終了


@クロウ

「俺は・・・本当に国王の息子なのか。正直、自信が無くなった。そして、ここへ来てから1年が経ち、父上の体調が気になって俺は久しぶりに国へ訪れた。そして、変わり果てた国の姿を見た。」


@ノエル

「さっき言っていた、身分による色分けの制度?」


@クロウ

「そうだ。恐らく、体調の悪い父に代わり、キュクノスが国を治めているのだろう。そして、恐らくこれは、俺に対する当てつけ・・・俺の居場所は、もうあの国には無くなった。」


@ノエル

「どうして!?」


@クロウ

「俺には色が無い。両親が持っている色を、受け継げなかった。色を持たない俺には、色による統制をされた国の王子である資格などあるはずもない。」


@ノエル

「そんな考え方しなくてもいいじゃない。・・・取り戻そうよ、美しくて色の豊かなクロウの故郷。街の人たちだって、今の状況を喜んでいるようには見えなかった。」


思わず力んでそう言うと、クロウはさみしい瞳で小さく笑った。


@クロウ

「簡単に言ってくれるな。部外者が。」


@ノエル

「・・・!」


@レイヴン

「クロウ!そういう言い方をするな。」


レイヴンがフォローをしてくれる。だが・・・


@クロウ

「がっかりしただろう。情けない偽物王子で。・・・俺は、何もできない。俺に何も望んでくれるな。」


小さく、そしてとても寂しい口調でそういい残すと、クロウはふらっと小屋を出て行ってしまった。

そんなクロウの姿に、私は何か少しでも自分に出来ることが無いかを考え、そしてある決心をしたー・・・


メモ: * は入力必須項目です