第2話 同居人


○木の生い茂る森の中


私は、森で生活をしているというクロウに、町の物をおすそ分けしようと、お気に入りのベーカリーのクロワッサンをかごに詰めて、クロウの住む森の小屋へ向っていた。


@ノエル

(無愛想なクロウだって、このパンを食べれば少しは嬉しそうな顔をみせてくれるかも・・・)


そんな期待でわくわくしながら歩いていると・・・


@???

「そこのお嬢さん。こんな森の中を、どこへ向かっているのですか?」


@ノエル

「えっ!?」


クロウの小屋が見えてきたと思うと、突然どこからか聞き覚えのない男性の声がして、思わず辺りを見渡す。


@???

「ここですよ。」


ガサッ


@ノエル

「きゃぁっ!!」


なんと、木の上から青年が降って来た。

クロウより少し年上に見えるその男性は華麗に着地すると、私に優しく微笑みかけた。


@???

「驚かせてすまないね。女性がこんな森の中を1人で歩いていては危険ですよ。」


@ノエル

「私、ここに住んでいるクロウに用事があって・・・」


@???

「クロウに!?へぇ・・・あいつもスミにおけないな。こんな可愛いお嬢さんを連れ込むだなんて」


@ノエル

「クロウを、知っているの?」


@???

「知ってるもなにも・・・」


その青年が答えようと口を開いた時


@クロウ

「おい。レイヴン。何をしている。」


小屋の方から聞き覚えのある声がした。


@ノエル

「クロウ!!」


@クロウ

「貴様は・・・ノエル、とかいう女。なぜここにいる?」


相変わらず神々しいほどに白く美しいクロウの姿がゆっくりと近づいている。


@レイヴン

「クロウ、せっかく訪ねてきた女性に、その言い方は良くないな。」


レイヴン、と呼ばれた青年がフォローするように明るく言う。


@クロウ

「訪ねてきた?・・・誰を。」


@ノエル

「クロウしかいないじゃない」


@クロウ

「・・・相変わらず、おかしな奴だな。」


@レイヴン

「まぁまぁ、せっかく来てくれたんだし、まずは中へ入ってもらおうじゃないか。さ、お嬢さん。俺は歓迎するよ。我が家へどうぞ。」


レイヴンに促されて小屋へと足を踏み入れ、そしてある疑問に突き当たる。


○質素な山小屋の部屋


@ノエル

「我が家って・・・クロウの家じゃないの??」


@クロウ

「誰がそんなことを言った」


驚く私に、クロウは冷たく言い放つ。


@レイヴン

「だからクロウ。女性にそういう言い方はやめろって。それに、説明をしていないお前が悪いよ。お嬢さん、えっと・・・」


@ノエル

「私、ノエルって言います。」


@レイヴン

「ノエルちゃんね。俺はレイヴン。この小屋は俺の家で、こいつ・・・クロウは居候だよ。」


@ノエル

「居候!?」


@クロウ

「なんだ、その反応は。」


@ノエル

「だって。・・・まるで自分の家みたいに案内してくれたし・・・」


@レイヴン

「それで、ノエルちゃんは気を遣って差し入れまで持ってきてくれた、と。」


@クロウ

「なに?」


@ノエル

「あ、そうなの!森で暮らしてたらこういうの、なかなか食べられないんじゃないかと思って・・・」


そう言って持ってきたクロワッサンの入ったかごを見せると、クロウが早足に近寄って来た。


@クロウ

「・・・・・」


クロウは無言のまま私の手元のかごに顔を近づける。


@ノエル

「クロワッサンなんだけど、好き?」


@クロウ

「香ばしい匂いがする・・・」


私の手元にに顔を寄せたまま、上目づかいに頷くクロウと目が合い、ドキッとした。


@ノエル

(なんだか小動物みたい・・・)


@レイヴン

「クロウ、お礼はちゃんと言え。」


@クロウ

「・・・ありがとう・・・。」


レイヴンに指摘され、しぶしぶといった調子でクロウが言う。


@ノエル

「どういたしまして」


@ノエル

(なんだかレイヴンがお父さんみたい。・・・クロウってもしかして、冷たい人なんじゃなくて、ものすごく照れ屋なだけ?なんだかちょっと可愛い・・・)


そんなことを思ってクロウを眺めていると、いつもの冷たい目でジロリと睨まれた。


@ノエル

(やっぱり愛想悪い・・・・!!!)


@レイヴン

「ノエルちゃん、悪いね。これでもこいつ、喜んでるから。町に滅多にでないからね。こういう、人の温かみのある食べ物はなかなか食べられないんだ。」


@ノエル

「ずっと、ここで暮らしてるの?」


@クロウ

「悪いか。俺は人と戯れる気はない。」


@ノエル

「そんな言い方・・・」


@レイヴン

「本当に。クロウ、お前どうせ何の説明もしていないんだろう?」


@クロウ

「必要が無い。」


@ノエル

「・・・そんなに、私の存在が目ざわり??」


悲しくなって思わずそう聞くと、クロウは目をそむけて「チッ」と小さく舌打ちをした。


@レイヴン

「クロウ、逃げるなよ。ちゃんと向き合え。」


@クロウ

「・・・・。」


クロウはじっと押し黙っている。


@レイヴン

「いい機会だ、クロウ、ノエルちゃんを連れて色彩の国へ行ってきたらどうだ?ノエルちゃんだって、見てみたいんじゃないか?こいつの故郷を。」


@ノエル

「うん。見てみたい・・・」


強くそう答えると、クロウは小さくため息をついた。


@クロウ

「・・・わかった。連れて行ってやるよ。お前の差し入れを食ってからな。」


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