第8話 誓いの花


○一面色鮮やかな花畑


私とイリスは、以前イリスが案内してくれた『秘密基地』の花畑へと来ていた。


@ユリア

「何度来ても、本当に素敵なところ・・・」


@イリス

「そうだね。・・・こうしてこの景色をはっきりとこの眼で見るのはとても久しぶりだな・・・」


イリスは、その景色を隅々まで目に焼きつけようとしているかのようにゆっくりと辺りを見渡す。


@ユリア

「この景色を、イリスと一緒に見て、美しさとその感動を共感できるのが本当にうれしい。」


@イリス

「ユリア・・・」


イリスは優しい声音で私の名を呼ぶと、そっと私の手を取った。


@ユリア

「イリス??」


@イリス

「俺も、本当に嬉しい。この大好きな景色をもう一度この眼で見られたこと、そしてそこに花達にも劣らない、美しい人がいるということが・・・」


サラリと恥ずかしいことを言うイリスに、頬が熱くなる。


@ユリア

「大げさだよ。・・・そんなこと言って、いつも女性を口説いているの?」


@イリス

「・・・それはとんだ誤解をされてしまったね。こんなこと、ユリア以外に言ったことも、思ったこともないよ。」


@ユリア

「え・・・」


真剣なイリスの眼差しにドキッとする。

するとイリスは、私の手を取ったまま、恭しくその場に片膝をついた。


ユリア「イリス?どうしたの?」

イリス「・・・・」


私を見上げる形になったイリスは、上目づかいに私を見つめたまま、手の甲へと唇を落とした。


@ユリア

「!!」


@イリス

「ユリア、聞いてほしい。俺は今まで、こんなに人を美しいと思ったことはない。ユリアは・・・何もかもが本当に美しい。」


@ユリア

「そんな・・・言いすぎだよ。」


@イリス

「本気なんだ。ユリア・・・好きだ。」


@ユリア

「!!」


イリスの真剣でまっすぐな告白に、私の鼓動は一気に跳ね上がる。


@イリス

「俺のそばにいてほしい。これからもずっと。そして、もっともっとたくさんの美しい景色を、一緒に見たい。」


@ユリア

「イリス・・・私も、イリスが好き・・・」


ドキドキしながらもなんとかそう答えると、イリスの顔が子供のようにくしゃくしゃになった。


@イリス

「本当に!?」


@ユリア

「もちろん。」


大きくうなずくと、イリスは本当に嬉しそうな笑顔でもう一度私の手の甲に口づけをして立ち上がり、ぎゅっと私を抱き寄せた。


@イリス

「嬉しい。・・・ユリア、どうかこれからもずっと俺の隣にいてほしい。」


@ユリア

「私も、ずっとイリスと一緒にいたいよ。」


ふと、イリスが突然足元にあった何かを拾い上げた。


@ユリア

「どうしたの?落し物?」


尋ねると、イリスは手を広げて見せた。


そこには・・・


@ユリア

「わぁ・・・綺麗。」


そこには、見たこともないガラス細工のような繊細な花が太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。

茎が花へ向かって回転し、まるで指輪のような形をしている。


@イリス

「これは、この国の伝統的な花、エンゲージフラワー。」


@ユリア

「エンゲージフラワー・・・」


@イリス

「この国の男性は、この花を愛しい女性に捧げることで永遠の愛を誓い、プロポーズをするんだ。」


@ユリア

「そんな伝統があるんだ・・・素敵・・・」


@イリス

「ユリア、受け取ってもらえるかな?」


@ユリア

「え・・・」


咄嗟にその意味を把握しきれずぽかんとイリスを見上げる。


@イリス

「今すぐに、なんて言わない。でもいつか・・・俺の妃になってくれないか。」


@ユリア

「!!・・・私で、いいの??」


@イリス

「君以外、考えられない。」


イリスの言葉に、胸がいっぱいになり、熱いものがこみ上げてくる。


@ユリア

「ありがとう・・・!喜んで。」


そう答えた瞬間、私の瞳からは涙があふれていた。


@イリス

「ユリア・・・愛してる。幸せにするよ。」


イリスは大きな手で私の涙をすくい上げ、その頬に優しくキスをした。


@ユリア

「イリス・・・私も、愛してる。」


私たちはお互いを見つめあい、どちらからともなく、ゆっくりと長いキスを交わした。

それは、美しい花達に愛でられて、幸せな幸せな、誓いのキスだった・・・


END


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