第7話 真実と再会


○城内の一室 観葉植物が飾られている部屋


私とイリスは、その部屋で目にした光景に思わず立ち尽くした。


@イリス

「これは・・・」


部屋の中に置かれた立派なベッドの上には1人の女性が横たわり、何か記号の書かれた札のような物がその周りにびっしりと貼り付けられている。


@ユリア

「あの姿、まさかあれは・・・」


@イリス

「ルシエル!!」


イリスが横たわる女性に慌てて駆け寄る。

それは、いつか私が写真を見せてもらったイリスの妹、ルシエル様に間違いなかった。

その姿はとても綺麗で、まるで眠り姫。とても死んでいるようには見えない。

私は、その頬に手を近付けて、気づいた。


@ユリア

「ルシエル様・・・!!!まだ息をしている!!!」


@イリス

「!!そうか・・・!ユリア、この札を全て剥がすんだ。」


@ユリア

「分かった!!!」


私とイリスは必至で何百枚と貼られたその札のような物を剥がしはじめる。


その時・・・


@レイラ

「何をしているのです!!」


レイラがすごい剣幕で部屋へ飛び込んできた。


@イリス

「レイラ・・・これは、どういうことだ??」


イリスが、今までに見たことのないような鋭い瞳をレイラに向ける。


@レイラ

「イリス・・・様・・・。」


@イリス

「ルシエルを封じ込め、皆がここへ来られないようにしていたのか?」


@レイラ

「・・・!!・・・そうですよ。」


イリスに詰め寄られ、観念したようにレイラが言葉を紡ぐ。


@レイラ

「いつかはばれると思っていたけれど、こんなに早く見つかってしまうなんて。」


レイラの優しかった瞳が別人のように悪意に満ちたものへ変わり、私を睨みつけた。


@レイラ

「全てはトロイメアの姫、あなたのせいよ・・・!!」


唐突にレイラの口から小さな呪文が聞こえたかと思うと、私めがけて鋭い光が放たれた。


@ユリア

「あっ・・・!!」


避けられない、そう思って目をつむった瞬間

バシィィッ!!

何かをはじくような音。


そして私は温かい「何か」に包まれるのを感じた。


@???

「大丈夫?」


聞こえたのは、少しハスキーな女性の声。

慌てて目をあけるとそこには・・・


@ユリア

「ルシエル様!!」


私はいつの間にかルシエル様に守るように抱きしめられていた。

レイラの姿を探すと、レイラはイリスによって床に組伏せられている。


@イリス

「ユリア、ルシエル、大丈夫か!?」


@ルシエル

「お兄様と可愛い姫様が呪いの札を解き放ってくれたおかげで、ようやく自由になれたわ。随分何重にも呪いをかけてくれたね・・」


@イリス

「レイラ、答えるんだ。これは、どういうことだ??」


イリスとルシエル様に詰め寄られ、レイラは肩を落とし、口を開いた


@レイラ

「私は・・・トリス様、あなたたちのお父様を愛していたの。」


@ユリア

「・・・え・・・」


@イリス

「父上を??」


@レイラ

「そうよ。誰よりトリス様だけをお慕いしていたというのに、トリス様は妃候補でもあった私には目もくれずに貧しい花屋の娘をパートナーに選んだの。・・・悔しかった。許せなかった!!そして・・・忘れられなかった。」


レイラの話す過去の話は、とても切なく、寂しい記憶だった。


レイラは、トリス王が他国へ外交に発ったことを知り、メイド達に紛れて城へ入った。そして、愛するトリス王の子供であるイリスとルシエルの世話役という立場を得ることに成功する。

トリス王の姿を二人に重ね、愛おしく思い、また同時に自分ではない女性の面影に苦しんだという。


@レイラ

「じきにトリス様達は外交から戻るわ。私がここにいられるのもあとわずか。だからせめて何か・・・愛おしくてたまらない彼の何かをこの手に欲しかった!!王家にだけ伝わるという色才の能力。それは、間違いなく彼から引き継がれるもの。あの女の物ではないわ。だから私はそれがどうしても欲しかった・・・」


@ユリア

「そのためにルシエル様を・・・」


@ルシエル

「レイラ・・・そんなことができるのなら、私は喜んでこの力をあなたに譲るわ。」


@レイラ

「・・・そうよね。ルシエル様ならそう言うと、分かっていた。だけど、あの女の面影が、どうしても憎くて!!私は、ルシエル様から色才を奪って、そして殺そうと、そう思っていたの。」


@イリス

「レイラ、あなたには・・・ルシエルは殺せない。」


@レイラ

「!!」


レイラは突然ぼろぼろと涙を流した。


@レイラ

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・トリス様・・・」


そんなレイラの肩を、ルシエルはそっと優しく抱いて支えた。

イリスもその様子を見守っていたが、突然はっとしたように私の方を振り返った。


@ユリア

「??どうしたの、イリス?」


@イリス

「ユリア・・・!!」


そのまま、イリスに抱きすくめられる。


@ユリア

「きゃ・・・イリス・・??」


@イリス

「ユリア、見えるんだ・・・君の姿が・・・!」


@ユリア

「本当!?」


@イリス

「あぁ。視力を封じていたのは、この部屋の呪いだったのか・・・ユリアの顔が、見える。・・・やっぱり、美しいな・・・」


@ユリア

「・・・!!!」


改めてじっと顔を見つめられ、恥ずかしくなってうつむく。


@イリス

「ユリア。すべて君のおかげだ・・・本当に、ありがとう・・・」


そう言ってイリスはもう一度私を抱きしめた。


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