第6話 隠された鍵の意味


○城内の図書館 観葉植物のある明るい場所


@ユリア

「一体どれを読んだらいいのか、やっぱり難しいな・・・」


私は、イリスが公務にあたっている間、お城の図書館で調べ物をさせてもらっていた。

『占いと、その影響力の考察』『まじないの書』

調べているのは、イリスの言う「呪術」についてだ。

ただ・・・


(調べ始めて、もう1時間以上経ってるのに、こんなに手ごたえのないものだとは思わなかった・・・)


私の心はあまりの進展の無さにすでに折れかけていた。


@イリス

「突然図書館へ行きたいなんて言うから何が読みたいのかと思えば・・・占いでも始めるのか?」


突然、すぐ後ろでイリスの声が降って来た。


@ユリア

「きゃ・・!イリス!!!いつ来たの!?」


@イリス

「今しがたね。・・・こんな背後に立たれても気づかないなんて、ユリアがよっぽど鈍いのか、それともそれだけ集中していたのかな?」


少しからかうように顔を覗き込むイリスに、私は恥ずかしくなって少し目を逸らす。


@ユリア

「イリスが気配を感じさせないからだよ・・・!それより、もうお仕事は終わったの??」


@イリス

「とりあえずはね。まだ残っている仕事はあるけれど・・・ユリアの様子が気になって、早めに切り上げてきたんだよ。」


@ユリア

「え・・・・」


思いがけない言葉にドキドキする私を知ってか知らずか、イリスはいつもと変わらない様子で私の隣に腰かけた。


@イリス

「どうして占いを調べているの?この前話したことを気にしているのか??」


@ユリア

「うん・・・。どこかに、イリスの視力を治すヒントがあるかもしれないし。」


@イリス

「!・・・俺のため?」


イリスは大きく目を見開いた。


@ユリア

「だって、全てを感じられたって、こんなに美しい国の景色を見られないなんて・・・。私、イリスが案内してくれた場所、教えてくれた景色、全てに本当に感動したの。だけどやっぱり、イリスと同じ景色を見て、一緒に感動出来たら、きっともっと素敵じゃないかなって思って。」


そう答えると、イリスは少し困ったように笑った。

心なしか頬が赤く見える。


@イリス

「そんな嬉しい言葉を言うなんて・・・卑怯だね。」


目を細めて、大きな両手で私の頬を優しく包み込む。


@ユリア

「イリス・・・」


@イリス

「俺はね、視力を失ってから今まで、目が見えなくなったことに対しては特に何とも思ってこなかった。色才のおかげで生活に不便はなかったし、むしろ今まで以上に全てを見ることができたから。・・・なのに。ユリアと出会ってから、視力が無いことを何度も何度も悔やんだ。この目が見えたら、ユリアの姿を、オーラだけでなく、この瞳に映せたら。そう思うようになった。ユリア・・・君のオーラはとても美しく、清らかだ。その姿を、俺は見たい。」


@ユリア

「そんな風に言われると・・・恥ずかしいよ・・・」


@イリス

「そうやって、照れている時も、どんな表情をしているのか、知りたいんだ。ユリアの全てを、この目に焼きつけられたら・・・」


息がかかりそうな距離で低く囁くイリスの声はとても色っぽくて、体中が熱くなってくる。


@ユリア

「・・・っじゃあ!!イリスも、一緒に調べない??2人の方が早く見つかるかもしれないし。」


あまりの恥ずかしさに、ごまかすようにそう提案すると、イリスはふふっと笑った。


@イリス

「そうだね。俺も探してみよう。」


そうして私たちは、2人で手分けして広い図書館を探し始めた。


しばらくして・・・


@イリス

「ユリア!・・・これを見てくれないか?」


何かを見つけた様子のイリスの声に、慌てて駆け寄る。

イリスの手には一冊の分厚い本と、一つの鍵が握られていた。


@ユリア

「鍵??どうして図書館に??」


@イリス

「この本に挟まっていた。・・・この鍵。この感じは・・・」


しばらく考えていたイリスが、はっと顔を上げた。


@イリス

「ルシエルが使っていた部屋の鍵・・・。」


@ユリア

「妹さんの部屋の??どうしてこんなところに・・・。」


@イリス

「あいつの部屋は、あの事件以来、ずっと開かずの間になっていた。呪術が残っているため、浄化作業中だと聞かされていたが・・・」


@ユリア

「・・・それって、何か変じゃない・・・?こんなところに隠すように鍵がしまわれているなんて・・・」


私たちは顔を見合わせた。

イリスの言わんとする事はわかる。

そのまま、イリスに案内してもらって、ルシエル様の部屋へと向かった。


○城内、部屋の扉の前


@イリス

「ここだ・・・」


イリスが、先ほど持ち出した鍵をカギ穴に入れてゆっくりと回す。

カチャリ。

小さな音を立てて、扉の鍵が外れた。

少しためらうようにゆっくりとイリスが扉を開き、部屋へと足を踏み入れ・・・


@イリス

「・・・これは!!!」


イリスが息を飲むのこがわかった。


@ユリア

「どうしたの!?」


慌ててイリスの後に続いて扉をくぐった私の視界に飛び込んできたのは、思いがけない光景だった。


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