第5話 真実を映す瞳


○城内明るい廊下


その日、イリスに呼ばれて色彩の国のお城へ来ていた私は、廊下で不思議な人だかりを見つけた。


@メイド1

「私、もうすぐ運命の人に会えるんですって!!」


@メイド2

「やったじゃない!!ねぇ、レイラ様、私は??」


そこで輪を作っていたのは女性ばかりで、その中心にはレイラの姿が見えた。


@ユリア

「皆さん集まって何をしているんですか??」


@メイド1

「あら、あなたは・・・噂のトロイメアの姫様ですね!実は今、レイラ様に占いをしてもらっていたんですよ。良く当たるって評判なんです。姫様もいかがですか?」


@ユリア

「占い、ですか・・・」


@レイラ

「ユリア様!いらしてたんですね。どうぞ、占って差し上げましょう!」


私の姿を見つけたレイラが瞳を輝かせる。


@ユリア

「いえ、私はイリスに用があって来ただけで・・・」


@レイラ

「遠慮なさらないで。乙女はみんな占いが好きですもの。お時間は取らせませんわ。」


レイラは半ば強引に私の目の前に立つと、手をかざした。


@レイラ

「・・・ユリア様は・・・何か、大切な秘密事を持っていますね・・・。それも、ご自身が思いを寄せている方に関すること・・・」


@ユリア

「・・・え。」


(それって、イリスの視力に関すること・・・?)


背中がぞくりとする。

と、その時


@イリス

「ユリア!そんなところで何をしているんだ?迷子にでもなった?」


イリスの事が頭をよぎった瞬間にその声に呼ばれ、びっくりして振り返ると、いつもの優しい笑顔のイリスが、いつのまにかすぐ後ろに立っていた。


@ユリア

「イリス!!ごめんなさい、今行こうとしていたんだけど・・・」


@イリス

「レイラか。こんな廊下で人を集めて・・・また占いでもしていたのかな?」


@レイラ

「申し訳ございません、イリス様。最近あまり占いをする機会もありませんでしたのでつい盛り上がってしまいましたの。」


@イリス

「まぁ、構わないけれど、ほどほどにね。ユリア、行こうか?」


@ユリア

「うん・・・」


イリスに促されてその場を離れたものの、レイラの言葉が頭を離れない。

心を見抜かれたようだった。


(それに、思いを寄せる人、って・・・!)


思い出して一人で赤くなっていると、イリスが不思議そうに見つめる。


@イリス

「何か、気になることでも言われた?」


@ユリア

「あ・・・そうなの・・・」


先ほど指摘されたことを説明しようと口を開くと、それを制するようにイリスが立ち止った。


@イリス

「レイラの占いは、よく当たるかもしれない。けれど、あまり鵜呑みにしないほうがいいよ。」


(何だろう・・・イリスって、たまにレイラさんに対してとても冷たいような・・・)


私の疑問をよそに、イリスは優しく微笑むと、自分の部屋に私を招き入れてくれた。


○城内の一室。シンプルで、たくさんの花が飾られた部屋


@ユリア

「さすが、イリスの部屋って感じ・・・お花畑みたい。」


@イリス

「ありがとう。」


イリスは慣れた手つきで紅茶を煎れてくれる。


@ユリア

「イリスは占いが嫌いなの??」


@イリス

「別に好きでも嫌いでもないかな。ルシエルも好きでよくやっていた。ただ・・・俺には、『占いの才能のある者』が・・・違うな・・・レイラだけかな?彼女が、信用できない。」


@ユリア

「えっっ???だって、昔から一緒にいたんでしょ??」


@イリス

「それはそうだ。でもそれも・・・何かを企んでのことかもしれない。」


@ユリア

「そんな、どうして??」


@イリス

「占いの力と、呪術の力は、性質がとてもよく似ている。レイラには呪術の才能があると俺は考える。」


@ユリア

「呪術って、まさか、ルシエル様の事件のこと??」


@イリス

「そう。色才が目覚めてから感じたんだ。あの時の気配と、レイラのオーラは良く似ている・・・。」


@ユリア

「!!」


@イリス

「そう信じたいわけじゃない。・・・けれど、幸か不幸か、この目が、レイラから邪なオーラを感じてしまうんだよ。」


@ユリア

「で、でもまだそうときまったわけじゃないんだよね??」


@イリス

「まぁ、そうだね・・・。ただ、それ以外にも気になったことはある。レイラは、この国に伝わる王家の力についてやたらと詳しかった。そして、俺とルシエルにその力がいつ目覚めるのかを妙に気にしていたんだ。あの事件が起きたタイミングも気になる。あの日は、ちょうどルシエルが色才を開花させた翌日だった。そしてそれを知るのは、俺とレイラだけだったはず。」


@ユリア

「それって・・・始めから色才が狙いだったということ??」


@イリス

「これはあくまで俺の憶測だけどね。」


@ユリア

「でもどうして、その色才を狙っていたんだろう・・・オーラを見られるのがまずいから?それとももっと他に何か・・・ん!!」


言いかけたところで、イリスの手が私の口をふさいだ。


@イリス

「・・・この話はここまでにしようか。」


静かに耳元で低く言われ、こんな深刻な話をしているのにドキドキしてしまう。

ほどなくして、イリスが私の言葉を止めた理由がわかった。

遠くから近付いてくる靴の音。

そしてー・・・


コンコン。


@レイラ

「イリス様。ユリア様とご一緒なのでしょう?ケーキをお持ちいたしました。」


@イリス

「ありがとう。入ってくれ。」


イリスは、いつもと変わらず、穏やかな笑顔でレイラを部屋へ迎えた。


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