第3話 面影


○色鮮やかな城内、広い廊下


@ユリア

「お城の中まで色とりどり・・・さすが、色彩の王国。」


私は、公務で忙しいイリスの邪魔にならないよう、お城の中を自由に見学させてもらっていた。

城内は様々な色が使われているにもかかわらず、清潔感と統一感のある、ハイセンスなデザインであふれていた。


@男性使用人

「イリス様が目覚められて本当によかった・・・」


@メイド

「ルシエル様のことは本当に残念だったけれど・・・イリス様までいないんじゃ、私たちも尽くし甲斐がないものね。」


(やっぱり、お城には王子が必要なんだ・・・イリスが帰ってきたことですごく賑わっているのがわかる。)


@ユリア

「あの、少しうかがってもいいですか?」


私は、近くにいたお城の人と思しき男性に声をかけた。


@男性使用人

「はい。何なりと。・・・あなたが、噂のユリア様ですね。噂に違わぬ美しいお方。私たちの救いの女神さま。」


@ユリア

「そんな、大袈裟です。その、ルシエル様のことについてお聞きしたいのですが・・・どんなお方なのでしょう?」


@男性使用人

「ルシエル様ですか!あのお方は本当にお花が大好きで、いつも城中を花でいっぱいに飾っておいででした。いつも無邪気で、好奇心が旺盛で、いたずら好きな姫君でしたね・・・私たち使用人の間では、ひそかにこう呼んでいましたよ。「春の妖精のようだ」と。」


懐かしそうに、愛おしそうに話すその様子から、本当にみんなに愛されていたお姫様だったのだと感じる。


@ユリア

「春の妖精・・・!素敵なお姫様ですね。」


@男性使用人

「ルシエル様の写真でよろしければ、今も入口広間に飾ってあります。ご覧になりますか?」


@ユリア

「はい。是非!」


私は、その男性に写真が飾ってあるという入口広間へと案内してもらった。


○城の広間


@ユリア

「これが、イリスの妹のルシエル様・・・」


そこに飾られていた写真の女性は、どこかイリスを思わせる、良く似た勝気そうな瞳に、きりりとした眉、活発そうな笑顔を浮かべた、健康的で美しい女性だった。


@イリス

「ここにいたのか。」


突然、後ろから聞き覚えのある声がした。


@ユリア

「イリス!」


@男性使用人

「イリス様!実はただいま、ユリア様がルシエル様を見てみたいとおっしゃったので、こちらへご案内したのです。」


@イリス

「そうか。・・・ルシエルの写真、か。」


@男性使用人

「ではユリア様、イリス様、私は仕事へ戻りますので、失礼いたします。」


@ユリア

「あ、はい!ありがとうございました!!」


広い室内にイリスと二人、残される。


@イリス

「お転婆そうな娘だろう。」


@ユリア

「ふふっ・・・とても健康的で美しい人。・・・ねぇ、でも・・・」


@イリス

「?」


@ユリア

「私に・・・似ているのかな?」


正直、似ているとは思えなかった。

顔立ちも、雰囲気も、聞くところによると性格も、まるで違う。


@イリス

「・・・わからない。似ていないかもしれない。」


@ユリア

「え??だって、とても似ているって・・」


混乱して思わずイリスを見つめると、イリスはそれ以上何も言えなくなってしまうような複雑な笑みを浮かべていた。


(初対面で妹と間違えたのに、わからないなんて・・・寝ぼけていたの?でも、仲のいい兄妹だったっていうのに・・・)


納得のできない違和感がぐるぐると渦巻く。


@イリス

「嫌な気にさせてしまったみたいだね。ごめんね。・・・俺は、本当は・・・目がすこぶる悪くて、あまり見えていないんだ。」


@ユリア

「そうだったの!?」


(確かに、初めて会ったときにかなりの至近距離で見られたのは覚えているけれど・・・)


@ユリア

「だから、眼鏡をかけているの?」


@イリス

「・・・そうだけど、それも少し違うかな・・・」


@ユリア

「???どういうこと??」


@イリス

「・・・君になら、話してもいいかもしれない・・・ユリア。」


@ユリア

「え・・・」


突然名前を呼び捨てにされて、胸がどくんと高鳴る。

イリスが意味深な笑みで次の言葉を紡ごうとした、その時ー


@レイラ

「イリス様!こちらにおいででしたか!探していたのですよ。まだ公務がございますでしょう??」


慌ただしくレイラが現れた。


@イリス

「・・・この話は、また今度、必ず。」


耳元で小さくそう言い残し、イリスはレイラに連れられて広間を出て行った。

私は、一人広間に立ち尽くして早まる鼓動を落ち着かせるので精一杯だった・・・


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